迷わず進め正直の道
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大場さんは、昨年まで3年続けて”無補給”による北極海横断の冒険に挑戦しましたが、いずれも北極点到達前で断念しました。2回目に断念したときは凍傷がひどく、帰国後に両足全部の指と手の指2本を切断。しかし、”北極海横断”の大いなる夢を捨てることなく、持ち前の精神力で懸命にリハビリに励み、普通の人間と変わらないほどに回復しました。 今回の挑戦も決して平たんな道程ではなかったようです。猛烈なブリザード(吹雪)、白クマとの遭遇の恐怖、食糧不足など、例をあげれば枚挙にいとまがありません。 なぜ四度も、命がけの極地冒険に挑むのか・・・。この問いかけに対して、大場さんは決まって次のように応えています。「地球の大ささを自分の足で感じてみたい。極限まで自分の力を試してみたい。」と、また「物事の真実は自立した人間にしか見えない。自立した人間になるために冒険を続ける。」とも。想像をはるかに絶するような長く厳しく、そして孤独な旅は、大場さんにとって”自分探しの旅”でもあったのかもしれません。 過去3回の失敗に”この冒険は不可能だ”という人も多かったと聞きます。それでも北極海横断にこだわり続けられたもう一つの背景に、中学二年の時に弟子入りを許されたという、真室川町の鷹匠・沓沢朝治氏(故人)との出会いがあります。冒険家を志して故郷を後にするとき、『迷わず進め正直の道』の言葉が沓沢氏から贈られました。この言葉は、座右の銘として大場さんの心の中に生き続いています。 | |