122日間の足跡
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大場さんは、2月23日の午後3時18分にロシアのコムソモレツ島を出発。北極点を経由し、到着地のカナダ・ワードハント島までの1730キロの距離を、122日もの間、ソリをひきながらたった一人で歩き続けました。 でもこの距離は、地図上での直線距離に過ぎません。乱氷帯を避けるために遠回りしたり、時には流氷に流されたりしたことから、実際に歩いた距離は、2倍から3倍近くあると考えられます。 過去には、チームによる北極海横断徒歩の成功が2件ありますが、単独徒歩による成功は、大場さんが世界初。まさしく前人未到の快挙であり、世界の冒険史に輝かしい1ページを刻んだと言えます。 | |
| 大場さんは、過去3年連続して北極海横断に挑みましたが、いずれも北極点への到達を前にして断念しています。4度目の今回は、過去の反省を生かして”無補給”ではなく、食糧や燃料などの物資の補給を受けながらの挑戦でした。 しかし、補給機を要請してから物資を受け取るまでに予想外に時間が長くかかることが多く、5日間何も食べない日が続いたこともありました。また、荷物を軽量化するために、当初は無線機を携帯しておらず、補給要請の信号を出しても果たして補給機が本当に来てくれるかどうか、不安な状態が続きました。「希望が持てない不安から精神的にきつかった。最悪の事態を考えて遺書を書き残した。」と大場さんは語っています。 こうした困難な状況に屈することなく、成功へと導いたのは大場さんの強い精神力でした。ただ歩き続けるという単純で着実な作業の積み重ねにその強さを感じます。大場さんの座右の銘『迷わず進め、正直の道』のとおりに成し遂げた、快挙ではないでしょうか。 |
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