大場さんの喜びの声
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単独徒歩による北極海横断に挑戦していた本町満沢出身の日険家・大場満郎さん(東京都・44歳)が、日本時間の6月24日午前零時18分、ゴール地点のカナダ・ワードハント島に到着しました。世界初の快挙を成し遂げた記念すべき瞬間です。そこで今月の特集では、大場さんの北極海冒険の全容をご紹介いたします。まずは、大場さんの喜びの声からお聞きください。 | |
| ▼この四力月間はとても長く感じました。やっと終わったという気持ちです。でも、自分が記録に残るようなことをやったという実感は、ありません。何日間も氷の上を歩き続けましたので、こうして地面の上に立っていると安心します。 最後の30キロは、氷の状態が悪くて大変でした。いたるところに海面が出ているし、雪は水っぼくてスキーがまったく滑らず、足がひぎまでズッポリ入ってしまう状態でした。山のように盛り上がった乱氷帯にも苦しめられましたし、最後まで行けると信じてはいましたが、いつ何が起こるか分からない状況下の毎日でした。 一番苦しかったのは、当初は無線機をもっていなかったので、食料などの物資の補給を必要とするときに連絡が取れない、ということでした。補給機の到着を一過間待ったこともありました。先が見えない、希望が持てないときほどつらいものはありません。このまま死んでしまうのではないかと思って、日記に遺書を書いたこともありました。肉体的なつらさはいとわないんです。人間は希望がないと死んでしまうが、食べ物がなくても死なないと実感しました。 でも、つらいことばかりではありません。三回目の補給を受けたとき(5月19日)に志賀忠重さん(レゾリート基地のマネージャー)に会えたときは、再び人間に会えた喜びに体が震えました。”自分のやっていることは間違っていなかった”と、自分を信じる力が沸き上がりました。 大自然の美しさ、動物たちとの出会いや360度の地平線、猛吹雪の合間にのぞく晴れ間など、心に残る瞬間に何度も出会いました。今日(6月24日)、ワードハント島で飛行機を待っている間も、実に美しい”日本晴れ”でした。 この冒険を始めた理由のひとつに『地球の大きさを自分の足で感じてみたい』ということがありました。北極海を横断するのに4カ月もかかりましたので、やっぱり自分の足で歩けば地球は大きいと実感しています。 次の冒険では、”南極大陸を横断したい”という夢を持っています。2〜3年後を目指して、そのための準備にこれから入りたいと思っています。今回の冒険を応接してくださった全てのみなさんに、感謝を込めて ”ありがとうございます”とお礼を申し上げます。(6月24日午後7時、カナダ・レゾリート基地にて) |
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